中小企業診断士への挑戦

2018年 中小企業診断士試験の一次試験合格、二次試験不合格となった人が、2019年合格に向け挑戦する日々を記録するブログ。

二次試験 得点開示結果について

こんにちは、tateです。


二次試験の得点開示結果が届きました。


合格の基準は、四科目合計240点以上なのですが、私の得点は239点でした。


あと一点、されど一点。


ここで気を抜いて次回も落ちるなど、絶対に起こしたくは無い事です。


前の投稿でも書きましたが、前回は合格争い圏内に食い込む事。この目標は果たされました。今回は、確実に合格すると言われている上位5%に食い込む事。何度試験を受けても受かるとされるこの層に食い込む事を目標とします。


驕らず

憎まず

焦らず

腐らず

負けるな


私の好きなスポーツ選手の言葉です。

足りなかった一点を掴む為に鍛錬重ね、次こそ必ず合格を勝ち取ります。

成長戦略とは

こんにちは、tateです。



前回は、コンサルティングの方法についてご紹介しました。


コンサルティングを行う事で中小企業の力となる事が、中小企業診断士の目的ですが、コンサルティングはあくまでその『手段』でしかありません。コンサルティングの方法論と同じく重要であるものが、適切な成長戦略を描く事です。この成長戦略により、コンサルティングの方向性が定まり、各課題と大きな目標との整合性が高まります。


よって今回は、企業に対して行うコンサルティングの方向性を定める上で重要な、成長戦略〔企業戦略〕ついてご紹介します。



○成長戦略〔企業戦略〕の必要性


企業は永続する事〔ゴーイングコンサーン〕が究極の目的であり、その為に、問題に対し設定した課題を達成し続ける事で、成長を維持します。


ただ、企業の周囲にはありとあらゆる問題が存在します。それら全てを解決する事は不可能ですし、また闇雲に解決すべき問題を選択しても、それらを解決する事で、企業全体として結局何を達成したいのか、ハッキリしません。そこで重要になるものが成長戦略〔企業戦略〕です。


成長戦略とは、企業がどの様な活動を通じて付加価値を生み出すのか、その方向性を明示するものです。具体的には、『誰に、何を、どの様に提供するのか』を定義する事で、明示します。この成長戦略を立てる事で、企業がどこに向かって成長するのかが明らかになり、結果どの問題解決に取り組めば良いのかが、明らかになります。



○ドメイン定義の必要性


ただ、いきなり『誰に、何を、どの様に提供するのか』を定義したところで、命を受けた社員はどの様な範囲で戦えば良いのか分からず、各地に分散し、結局全滅…なんて事になりかねません。そこでまず、『どこで戦うのか〔則ちドメイン、事業領域〕』を定める事が、成長戦略立案において非常に重要です。このドメインを定める事により、意思決定を明確にし、経営資源を集中させ、組織を一体化する事ができます。


ドメイン定義で重要なポイントは、①誰に提供するか〔市場・顧客軸〕、②どんな価値を提供するか〔機能軸〕、③どのような技術・ノウハウを用いて提供するか〔技術軸〕について明確に定義する事です。この三軸はどれも、ドメインを定義する基礎になり得る為、対象企業の強みに合わせてドメイン定義する必要があります〔他社に無い有力な固定客・ロイヤルカスタマーを有するのであれば①市場・顧客軸、優れた製品・サービスを有するなら②機能軸、他社に無い独自の技術を有するなら③技術軸を基に、ドメインを定義する〕。


また、提供する『何を』については①物理的に定義〔事業をモノで定義〕、または②機能的に定義〔事業をコトで定義〕します。①物理的定義の場合、モノを提供すると考える為に分かりやすく、組織一体となって取り組みやすい反面、ドメインを下手に絞り過ぎるリスクがあります。②機能的定義の場合、コトを提供すると考える為、広くドメインを考えることができる反面、定義が曖昧となり経営資源が分散する〔組織一体となった活動ができない〕リスクがあります。




○4つの成長戦略


次に、定めたドメインを基に、則ちどの様な成長戦略を描くかについて考えます。有効な切り口として、新規市場or既存市場 × 新規製品or既存製品で成長戦略を考える、アンゾフの成長マトリクスがあります。


市場浸透戦略=既存市場×既存製品

新製品開発戦略=既存市場×新規製品

新市場開拓戦略=新規市場×既存製品

多角化戦略=新規市場×新規製品


これら戦略の内、多角化戦略に関しては、既存事業での経験を直接活かす事が難しく、選択する事がその他成長戦略と比較して難しい場合が多いです。


この多角化には、関連多角化と非関連多角化があります。関連多角化は、既存経営資源を活かせる可能性がある一方、事業ポートフォリオ的なリスク分散効果が低くなる可能性があります。一方非関連多角化は、既存経営資源を活かせない可能性が高い一方、事業ポートフォリオ的なリスク分散効果が高まる可能性があります。


4つの成長戦略の内、難しい多角化戦略を採る目的としては①獲得したい機会がそのドメインに存在する、②既存事業に迫る脅威を回避する、③組織スラック〔余力〕を活用する、④既存事業とのシナジー効果〔販売網相互利用等による販売シナジー、生産拠点相互利用等による生産シナジー、複数事業を一括管理する事による管理シナジー、リスクの高い投資を複数で行う事による投資シナジー〕が期待できる、があります。



○複数事業の管理〔PPM〕


複数事業を有する企業の場合、儲ける事業により内部留保を増やし、それを新事業開発投資に充てる流れを作る事が、企業成長の永続に繋がります。この管理手法として、PPM〔Product Portfolio Management〕があります。


PPMでは、市場成長率×市場相対シェアのマトリクスにより、事業を分析します。市場成長率は、製品ライフサイクルに基づき設定されたもので、ライフサイクル前半の高成長時期〔導入期、成長期〕においては、より多くの投資が必要〔Cash Out多〕で、ライフサイクル後半の低成長期〔成熟期、衰退期〕においては、より少ない投資〔Cash Out少〕となります。また、市場相対シェアは、経験曲線効果〔累計生産量が増えれば増えるほど、技術が習熟し、より高品質・低コストで生産できる様になる為、Cash Inが増える〕に基づき設定されたもので、市場相対シェアが高い場合においては、より多い収入〔Cash In多〕が期待でき、市場相対シェアが低い場合においては、より少ない収入〔Cash In少〕しか期待できません。


これらの特徴を組み合わせる事で、事業を以下四つに分類する事が可能となります。


問題児=高成長時期×低市場相対シェア〔CO多×CI少〕

花形=高成長時期×高市場相対シェア〔CO多×CI多〕

金のなる木=低成長時期×高市場相対シェア〔CO少×CI多〕

負け犬=低成長時期×低市場相対シェア〔CO少×CI少〕


 繰り返しになりますが、金のなる木で得たキャッシュを如何に、有望な問題児に投資できるかが重要です。



企業は、成長する方向性をドメイン定義により明らかにし、そこに向かうための戦略〔アンゾフの成長マトリクス〕を立案し実行する。事業を複数有する場合は、投資資金源となる内部留保を増やす主力事業と将来の主力事業の種をバランス良く保持する。以上により、成長を実現します。


…どうでしょうか?成長できそうですか?


たしかに、成長する方向性が定まった為、成長できそうな気がするかもしれません。しかし、このまま実際に実行段階に突入したならば、おそらく皆、戸惑うはずです。


目の前の敵と、具体的にどうやって戦えばいいんだと。


なぜなら成長戦略では、具体的な戦い方が記されていないからです。成長戦略は、あくまで企業全体が組織立ってどう動くべきかを示したものです。冒頭、成長戦略の後ろに〔企業戦略〕と入れた理由もここにあります。


成長戦略のみ立て、後の行動は全て社員に丸投げだと、それはまるで、武器も渡さず、所定の戦場に兵士投げ出し、決められた敵に兎に角突っ込ませる様なものだと言えます。もちろん、そんな状況でも、飛び抜けた個体は勝利を手に入れることが出来るかもしれませんが、もし組織としての勝利を、そんな個体の大量発生に掛ける経営者がいるのであれば、その組織は長く続かないでしょう。


〔こう分かりやすく書けば、『んなバカな、そんなことするやついないだろう』と思うかもしれませんが、見栄えの良い大枠戦略〔先代が作った戦略を、表現変えて使い回す、成長戦略の紛い物〕を大袈裟に打ち立てるだけで、経営審議会が終われば何事もなかったかの様にまた、弱者を消費しながら事業を回し、他者の悪口をツマみつつ、夜な夜な空接待に勤しむ人々を、ウンザリするほど見てきました〕


敵に勝つ方法。それは、敵と競争する上での戦略、則ち競争戦略に基づき戦う事です。敵に無い、より優れた武器を用いて戦う事が重要である為、差別化戦略とも言います。


次回は、この競争戦略についてご紹介します。



コンサルティングとは

こんにちは、tateです。


随分記事を投稿しておりませんでしたが、ちゃんと勉強はしております笑 この一ヶ月、中小企業診断士2次試験過去問演習を通じた過去問分析、およびメタ的学習〔多年度に渡る過去問を俯瞰し、受験者は本質的に何を問われているのかを考え直す事〕に取り組んでいました。


今日は、その成果についてご紹介したいと思います。




そもそも中小企業診断士とは、コンサルタントの一種です。コンサルタントが様々な企業を対象とする事に対し、中小企業診断士はその名の通り中小企業を対象としています。中小企業の発展のため、中小企業の経営について診断・助言を行うことが重要であることから、経済産業省で経営の診断・助言について一定の能力を有すると認められる者を中小企業診断士として登録しています。


http://www.meti.go.jp/information/license/c_text23.html


つまり、対象は違えど本質的に中小企業診断士はコンサルタントであり、診断・助言はコンサルティングであり、中小企業診断士試験では、このコンサルティングを行う知識があるのか〔一次試験〕、能力があるのか〔二次試験〕を問われているのです。


では、コンサルタントとは、どのような事を生業とする人達でしょうか?〔=コンサルティングとは何なのでしょうか?〕この質問は、意外に難しいと思います。


私はその昔、コンサルタントとは、経営陣を誑かし金を騙し取る人達だと思っていました〔自分が目指すことになるとも知らず笑〕。


コンサルタントは、依頼者を取り巻く環境変化を把握し、それに適応し、かつ依頼者が持つビジョンを達成し得る戦略・計画を立案する事を生業としています〔則ち、そういった戦略・計画立案する事がコンサルティングです〕。


では、その戦略・計画は具体的に、どの様に立案すれば良いのでしょうか?


①依頼者の理念・ビジョンを把握し、依頼者のあるべき姿〔ゴール〕を把握する。②依頼者を取り巻く環境〔現状〕を把握する。③〔現状〕と〔ゴール〕のギャップを問題として捉え、それを解決する為の課題を設定する。設定した課題が企業全体に関わるものであれば企業戦略となり、部署や社員の行動といった具体的施策に関わるものであれば事業戦略や経営計画となります。


それでは、①~③の具体的実行方法についてご説明致します。




①依頼者の理念・ビジョン〔=ゴール〕を把握する


ビジョンは、依頼者が描く将来のあるべき姿で、例えば『年商1億円』など、具体的なものです。一方理念は、そのビジョンを描く上で基礎となった考え、想い、信念等です。『うちは100年続く伝統製法を後世に残すんだ』等、依頼者の歴史的背景がある事が多いです。


 様々な戦略を思い描く事ができる中、戦略の方向性を決める上で、依頼者の理念、ビジョンは非常に重要な指針となります。



②環境分析


依頼者の理念・ビジョンに沿った行動さえすれば成功する…はずがありません。どれほど想いが強くても、環境がそれを許さない事があります。コンサルタントはそれも踏まえた課題を設定する為、環境分析を通じて環境の変化を捉えます。




では、環境とはなんでしょうか?




環境は、依頼者の行動に影響を与える要素の事で、大きくは外部と内部に分けられます。外部は依頼者がコントロールできないもの、内部は依頼者がコントロールできるものです。




外部環境


外部環境は、大きくマクロとミクロに分けられます。マクロは、全体を俯瞰したものであり、依頼者に限らず全行動主体が影響を受けるもの〔経済学的に言うと、鳥の目〕、ミクロは、その依頼者固有のもの〔経済学的に言うと、蟻の目〕。


これら外部分析を通じ、依頼者にとっての機会〔Opportunity〕と脅威〔Threat〕を見極める事が重要です。また、課題設定に際しては、機会を捉える、脅威を回避することに留意します。




外部マクロ


外部マクロを考える上で有効な切り口は、PEST分析です。


PESTとは、Politics, Economy, Society, Technologyの頭文字であり、それぞれの動向が、依頼者にどの様な影響を与えるのか把握する事が重要です。




外部ミクロ


 外部ミクロを考える上で重要な切り口は、5force分析です。


 5forceとは、仕入れ元、売り先、代替品、新規参入、既存競合の5つの脅威の事です。こちらも、それぞれの動向が、依頼者にどの様な影響を与えるのか把握する事が重要です。




内部環境


内部環境は、依頼者の経営資源の事です。経営資源には有形のもの、無形のものが存在し、有形なものとしてはヒト、モノ、カネなど、無形のものとしては技術力や知的財産、ノウハウ、ブランド、信用、顧客情報などがあります。


これらの要素に着目し、依頼者の強み〔Strength〕と弱み〔Weakness〕を見極める事が重要です。また、課題設定に際しては、強みを伸ばす、弱みを克服することに留意します。


この強み、弱みについては、何故そう捉えるのか考える事が重要です。強みと思っていたけれど実はそうでもなかったり、また逆も然りです。その為の分析手法として有効なものが、VRIO分析です。


 VRIO分析とは、Value〔経済価値を生み出すか〕、Rarity〔希少であるか〕、Inimitability〔模倣困難であるか〕、Organization 〔経営資源を活かす組織は存在するか〕と言う切り口から、経営資源が強みとなるかどうかを考える為の切り口です。ここで特に重要なのはInimitability〔模倣困難であるか〕であり、この特徴がある強みを有することは、則ち他社との差別化が可能であることを意味します。


分析を通じて得た強みの内、自社固有の能力やノウハウなど、①顧客に価値を提供するのに役立つ、②他社が真似しにくい、③様々な用途に広く展開できる、を兼ね備えた強みの事をコアコンピタンスと呼びます。また、それら強みを生み出す源泉である組織的能力の事をケイパビリティと呼びます。


繰り返しになりますが、課題設定に際しては特に、コアコンピタンス・ケイパビリティを強化・活用して、競争優位性を保つ事に留意します。



随分長くなりましたが、以上により、環境分析を行う事で、依頼者の現状を把握します。




③問題抽出・課題設定


問題とは、現状からゴールをまでの差の事です。課題とは、何をすればその差が埋まるのかを示したものです。


わかりにくいので、①②も含め例示します。


私〔依頼者〕が、大好きなおじいちゃんの家までの移動時間が長い為、一人でおじいちゃんの家になかなか行けないと言う悩みを抱えているとしましょう。ちなみに、両者間の距離は3kmで、移動手段は徒歩のみとします。


まずはビジョンの確認。

大好きなおじいちゃんの家に一人で行きたいみたいです。


次に現状の把握。

なかなかおじいちゃんの家に行けないみたいです。


次に問題の抽出。

現状とビジョンの間にあるものは『移動時間』です。則ち、問題は『私の家からおじいちゃんの家までの移動時間が長い事』に集約されます。また、その問題を『両者間が3km離れている事〔距離〕』÷『移動手段が徒歩しかない事〔速度〕』に分解できます。


次に課題設定。

抽出された問題は移動時間がかかる事で、①両者間が3km離れている事、②移動手段が徒歩しかない事に分解できました。則ち課題は移動時間を短縮する事と設定し、①両者間の距離を縮める事、②より移動スピードの速い移動手段の確保に分解する事ができます。



ついでに、具体的施策・計画の策定まで行きましょう。


①に対する施策としては『おじいちゃんのことが大好きであるという強みを活かし、おじいちゃんに家の近くに引っ越す様お願いする』が挙げられます。…おじいちゃん好きな事を強みと自覚しているのであれば、この男の子相当策士ですね。


②に対する施策としては、『自転車を買ってもらう』が挙げられます。…クリスマスまではお預けでしょうか?


〔その場合、クリスマスまでに得られたはずの期待効果の現在価値と自転車購入費用=投資額を比較し、その差がプラスであれば今投資すべきと判断できるので、それを根拠にサンタに懇願して……この話はまた別の機会、財務会計まとめの時にしたいと思います。〕




少し話が飛びますが、例題で立案した具体的施策の内、『自転車を買う』を導き出したアプローチは、一昔主流であったポジョニングベースドビュー〔Positioning Based View〕と言われるアプローチです。これは、マイケル・ポーターという学者によって提唱されたアプローチであり、先に企業のポジショニングを決めて、次に、その実現に必要な資源を考えるというものです。例題では『距離が遠い』という外部環境に着目し、『自転車』という資源を入手すべきと考えました。


一方、例題で立案した具体的施策の内、『おじいちゃんに引越しを提案する』を導き出したアプローチは、現在主流なリソースベースドビュー〔Resource Based View〕と言われるアプローチです。これは、ジェイ・バーニーという学者によって提唱されたアプローチであり、経営資源自体が競争優位の源泉であると考えます。例題では『おじいちゃん大好き』という強みに着目し、ゴールを達成しようとしました。



コンサルティングにおいてはどちらも有効な手段ではありますが、資金調達力が比較的低く、簡単に経営資源を入手できない中小企業にとっては、リソースベースドビューでのアプローチが有効です。






如何だったでしょうか?

長々と書きましたが、以上が、コンサルティングの概要です。


そう、あくまで概要です。

各論についてはあまりにも内容が複雑である為、読む方に負担のかからない、一般化しやすいものをピックアップしながら、今後記事にしていこうと思います。


よし、勉強頑張ろう。