中小企業診断士への挑戦

2018年 中小企業診断士試験の一次試験合格、二次試験不合格となった人が、2019年合格に向け挑戦する日々を記録するブログ。

コンサルティングとは

こんにちは、tateです。


随分記事を投稿しておりませんでしたが、ちゃんと勉強はしております笑 この一ヶ月、中小企業診断士2次試験過去問演習を通じた過去問分析、およびメタ的学習〔多年度に渡る過去問を俯瞰し、受験者は本質的に何を問われているのかを考え直す事〕に取り組んでいました。


今日は、その成果についてご紹介したいと思います。




そもそも中小企業診断士とは、コンサルタントの一種です。コンサルタントが様々な企業を対象とする事に対し、中小企業診断士はその名の通り中小企業を対象としています。中小企業の発展のため、中小企業の経営について診断・助言を行うことが重要であることから、経済産業省で経営の診断・助言について一定の能力を有すると認められる者を中小企業診断士として登録しています。


http://www.meti.go.jp/information/license/c_text23.html


つまり、対象は違えど本質的に中小企業診断士はコンサルタントであり、診断・助言はコンサルティングであり、中小企業診断士試験では、このコンサルティングを行う知識があるのか〔一次試験〕、能力があるのか〔二次試験〕を問われているのです。


では、コンサルタントとは、どのような事を生業とする人達でしょうか?〔=コンサルティングとは何なのでしょうか?〕この質問は、意外に難しいと思います。


私はその昔、コンサルタントとは、経営陣を誑かし金を騙し取る人達だと思っていました〔自分が目指すことになるとも知らず笑〕。


コンサルタントは、依頼者を取り巻く環境変化を把握し、それに適応し、かつ依頼者が持つビジョンを達成し得る戦略・計画を立案する事を生業としています〔則ち、そういった戦略・計画立案する事がコンサルティングです〕。


では、その戦略・計画は具体的に、どの様に立案すれば良いのでしょうか?


①依頼者の理念・ビジョンを把握し、依頼者のあるべき姿〔ゴール〕を把握する。②依頼者を取り巻く環境〔現状〕を把握する。③〔現状〕と〔ゴール〕のギャップを問題として捉え、それを解決する為の課題を設定する。設定した課題が企業全体に関わるものであれば企業戦略となり、部署や社員の行動といった具体的施策に関わるものであれば事業戦略や経営計画となります。


それでは、①~③の具体的実行方法についてご説明致します。




①依頼者の理念・ビジョン〔=ゴール〕を把握する


ビジョンは、依頼者が描く将来のあるべき姿で、例えば『年商1億円』など、具体的なものです。一方理念は、そのビジョンを描く上で基礎となった考え、想い、信念等です。『うちは100年続く伝統製法を後世に残すんだ』等、依頼者の歴史的背景がある事が多いです。


 様々な戦略を思い描く事ができる中、戦略の方向性を決める上で、依頼者の理念、ビジョンは非常に重要な指針となります。



②環境分析


依頼者の理念・ビジョンに沿った行動さえすれば成功する…はずがありません。どれほど想いが強くても、環境がそれを許さない事があります。コンサルタントはそれも踏まえた課題を設定する為、環境分析を通じて環境の変化を捉えます。




では、環境とはなんでしょうか?




環境は、依頼者の行動に影響を与える要素の事で、大きくは外部と内部に分けられます。外部は依頼者がコントロールできないもの、内部は依頼者がコントロールできるものです。




外部環境


外部環境は、大きくマクロとミクロに分けられます。マクロは、全体を俯瞰したものであり、依頼者に限らず全行動主体が影響を受けるもの〔経済学的に言うと、鳥の目〕、ミクロは、その依頼者固有のもの〔経済学的に言うと、蟻の目〕。


これら外部分析を通じ、依頼者にとっての機会〔Opportunity〕と脅威〔Threat〕を見極める事が重要です。また、課題設定に際しては、機会を捉える、脅威を回避することに留意します。




外部マクロ


外部マクロを考える上で有効な切り口は、PEST分析です。


PESTとは、Politics, Economy, Society, Technologyの頭文字であり、それぞれの動向が、依頼者にどの様な影響を与えるのか把握する事が重要です。




外部ミクロ


 外部ミクロを考える上で重要な切り口は、5force分析です。


 5forceとは、仕入れ元、売り先、代替品、新規参入、既存競合の5つの脅威の事です。こちらも、それぞれの動向が、依頼者にどの様な影響を与えるのか把握する事が重要です。




内部環境


内部環境は、依頼者の経営資源の事です。経営資源には有形のもの、無形のものが存在し、有形なものとしてはヒト、モノ、カネなど、無形のものとしては技術力や知的財産、ノウハウ、ブランド、信用、顧客情報などがあります。


これらの要素に着目し、依頼者の強み〔Strength〕と弱み〔Weakness〕を見極める事が重要です。また、課題設定に際しては、強みを伸ばす、弱みを克服することに留意します。


この強み、弱みについては、何故そう捉えるのか考える事が重要です。強みと思っていたけれど実はそうでもなかったり、また逆も然りです。その為の分析手法として有効なものが、VRIO分析です。


 VRIO分析とは、Value〔経済価値を生み出すか〕、Rarity〔希少であるか〕、Inimitability〔模倣困難であるか〕、Organization 〔経営資源を活かす組織は存在するか〕と言う切り口から、経営資源が強みとなるかどうかを考える為の切り口です。ここで特に重要なのはInimitability〔模倣困難であるか〕であり、この特徴がある強みを有することは、則ち他社との差別化が可能であることを意味します。


分析を通じて得た強みの内、自社固有の能力やノウハウなど、①顧客に価値を提供するのに役立つ、②他社が真似しにくい、③様々な用途に広く展開できる、を兼ね備えた強みの事をコアコンピタンスと呼びます。また、それら強みを生み出す源泉である組織的能力の事をケイパビリティと呼びます。


繰り返しになりますが、課題設定に際しては特に、コアコンピタンス・ケイパビリティを強化・活用して、競争優位性を保つ事に留意します。



随分長くなりましたが、以上により、環境分析を行う事で、依頼者の現状を把握します。




③問題抽出・課題設定


問題とは、現状からゴールをまでの差の事です。課題とは、何をすればその差が埋まるのかを示したものです。


わかりにくいので、①②も含め例示します。


私〔依頼者〕が、大好きなおじいちゃんの家までの移動時間が長い為、一人でおじいちゃんの家になかなか行けないと言う悩みを抱えているとしましょう。ちなみに、両者間の距離は3kmで、移動手段は徒歩のみとします。


まずはビジョンの確認。

大好きなおじいちゃんの家に一人で行きたいみたいです。


次に現状の把握。

なかなかおじいちゃんの家に行けないみたいです。


次に問題の抽出。

現状とビジョンの間にあるものは『移動時間』です。則ち、問題は『私の家からおじいちゃんの家までの移動時間が長い事』に集約されます。また、その問題を『両者間が3km離れている事〔距離〕』÷『移動手段が徒歩しかない事〔速度〕』に分解できます。


次に課題設定。

抽出された問題は移動時間がかかる事で、①両者間が3km離れている事、②移動手段が徒歩しかない事に分解できました。則ち課題は移動時間を短縮する事と設定し、①両者間の距離を縮める事、②より移動スピードの速い移動手段の確保に分解する事ができます。



ついでに、具体的施策・計画の策定まで行きましょう。


①に対する施策としては『おじいちゃんのことが大好きであるという強みを活かし、おじいちゃんに家の近くに引っ越す様お願いする』が挙げられます。…おじいちゃん好きな事を強みと自覚しているのであれば、この男の子相当策士ですね。


②に対する施策としては、『自転車を買ってもらう』が挙げられます。…クリスマスまではお預けでしょうか?


〔その場合、クリスマスまでに得られたはずの期待効果の現在価値と自転車購入費用=投資額を比較し、その差がプラスであれば今投資すべきと判断できるので、それを根拠にサンタに懇願して……この話はまた別の機会、財務会計まとめの時にしたいと思います。〕




少し話が飛びますが、例題で立案した具体的施策の内、『自転車を買う』を導き出したアプローチは、一昔主流であったポジョニングベースドビュー〔Positioning Based View〕と言われるアプローチです。これは、マイケル・ポーターという学者によって提唱されたアプローチであり、先に企業のポジショニングを決めて、次に、その実現に必要な資源を考えるというものです。例題では『距離が遠い』という外部環境に着目し、『自転車』という資源を入手すべきと考えました。


一方、例題で立案した具体的施策の内、『おじいちゃんに引越しを提案する』を導き出したアプローチは、現在主流なリソースベースドビュー〔Resource Based View〕と言われるアプローチです。これは、ジェイ・バーニーという学者によって提唱されたアプローチであり、経営資源自体が競争優位の源泉であると考えます。例題では『おじいちゃん大好き』という強みに着目し、ゴールを達成しようとしました。



コンサルティングにおいてはどちらも有効な手段ではありますが、資金調達力が比較的低く、簡単に経営資源を入手できない中小企業にとっては、リソースベースドビューでのアプローチが有効です。






如何だったでしょうか?

長々と書きましたが、以上が、コンサルティングの概要です。


そう、あくまで概要です。

各論についてはあまりにも内容が複雑である為、読む方に負担のかからない、一般化しやすいものをピックアップしながら、今後記事にしていこうと思います。


よし、勉強頑張ろう。

×

非ログインユーザーとして返信する